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ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!(感想)

このサイトを見ている方なら画面狭しに女の子が出て来るゲームを二度三度ならずともやったことがあるかと思いますが(そうだよね)、その際にこんなことを思ったことはありませんか?

ーー画面からこの娘が出て来ないかなぁ。

あるよね? そうだよね? そうだと言って!

古今、世界では空から女の子が降って来たりパンを加えて走って来てぶつかったり実は神様女神様だったり、はたまた二次元から飛び出して来たりする物語が珍しくありません。なので、私の身にもいつかはそういう出来事が起こるのだろうともう二十年くらい待っているのですが、一向に起こる気配がありません。

それはともかく『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』(ファミ通文庫)です。
ネット界でも評判だったようで、私も勧められて読んでみました。

ご多分に漏れず、ある日突然主人公はなぜかは分からないけれどもゲーム世界の美少女たちを現実世界に呼び出すことに成功するのです。ここまでは物語としてよくある話なのですが、実際に呼び出してからの出来事を詳細に記載しているのがこの小説の特徴です。

ゲームではヒロイン一人しか結ばれないが、振った残りの娘はどうなるのか?
 ゲームでは主人公とヒロインの会話シーンが中心だが、それ以外のシーンはどうなるのか?

画面で選択されるキャラクターを選択すればそのキャラの関連イベントが現れる。そんな楽な設定ではなく、目当ての娘に会いに行くまでに他人に会って別のイベントが発生したり。学校の中でファンクラブができてしまったキャラクターに対する、他の女子からの妬みがあったり。現実に持ち込むとやっかいな、ある意味「ご都合主義」という名で省略されていた面倒なできごとも表面化します。この世界はゲームのように甘くはない。とはいえそこは小説、主人公が動けば問題が解決するのです。ギャルゲー体験者なら、きっとこう思うでしょう。

小説を読むというより、ゲームをしているみたい。

その場にいるように書かれた紀行文を読めば旅情に誘われ、上手に美食を綴る文章に触れれば、食べて舌鼓を打ちたくなる。その感覚を信じるならば、久しぶりにギャルゲーをしてみようかと思う一作です。

そういや、ダ・カーポの最新作がもうすぐ出るんだよなぁ……。

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