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やるかやらないかで悩むんじゃねぇ。

「あんどーなつ」という漫画をご存知でしょうか。ここで取り上げるからと言っても萌え系ではありませんよ。
主人公の安藤奈津(あんどうなつ)は和菓子職人。江戸時代から続く浅草の老舗和菓子屋「満月堂」が舞台です。若女将や腕の良い師匠の梅吉を始め、厳しくも優しい人たちに囲まれ、和菓子作りを通じてヒロインである奈津の心の成長を描く話です(※)。

新米の和菓子職人に振って湧いた話。それは新作和菓子を自分の手で作ってお客様に披露すること。和菓子を作り初めて僅か1年の身には荷の重すぎる依頼でした。「わたしなんかが……」とうつむく奈津に対して、師匠の梅吉が一喝します。「馬鹿野郎!」と。そして続くのが今回のタイトルです。

「やるかやらないかで悩むんじゃねぇ。どんな菓子にするかで悩め。それが職人の喜びなんだ」

和菓子だけじゃないよね。
私も十代の頃から悩みを抱え続けて既に十数年経つのに、一向に減りません。悩みのテーマは時を経て変われど、一番多いのが「やるかやらないか」。既に起こってしまったことを後悔するのではなくて、これから起こるであろうことに、最大の不幸を想定して憂いてしまう。こんなこと言って嫌われてしまったらどうしよう、とかね。夜になって眠る頃には、よく考えてしまいます。自身に降り掛かるだろう——極論を言えば降り掛かるはずもない!——最悪の状況を。

この考え方って、自分しか見えていないのだよね。結局。
しかも結論は決まっています。やっても失敗するか、できない。
頭の中で結論が決まっている事に対して、延々とダメだできないと繰り返してしまうのです。少なくとも私はそう。

やるかやらないかは自分の内の問題。菓子を作るのは自分の外の問題。
一つでも良いものを作るためにどうすればいいか方法を考える。そこに悩みはあっても、できないという不毛な結末を導きだすものではなくて、できる可能性について、頭を捻り知恵を絞って考える。

だからと言って明日からじゃあ俺これから「やるかやらないか」考えるのは止める! と宣言した所で内向きの悩みに捉われるのが精々です。よく似た台詞なら、既に何年前にも聞いた事がありますから。それでも、完全にマイナス思考を止められない事がこれを証明しています。
これを書いている今でもどうしよう、こうなったらどうしようと悩んでいるものがありますから。

そんな自分にこう言ってやる。何度でも言ってやる。
やるかやらないかで悩むんじゃねぇ。上手く行くにはどうすれば良いかで悩め。

※「あんどーなつ -江戸和菓子職人物語-」
原作:西ゆうじ/作画:テリー山本  小学館(ビッグコミックス) 全20巻

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