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水樹奈々CD「DREAM SKIPPER」

中学生の頃は物書きの仕事に就きたかった。それを無邪気に言えばよかった。大人になって、現実が見えてきて、好きなことを押し込められる。夢を語るにも、それなりの実績が求められる。
 今、「俺は物書きになるんだ!」と公表したとしても、周囲の冷たい視線が突き刺さるのみ。口上をのたまうには新人賞の最終選考に残ってから、もしくは賞を取ってからにしてくれと言われるだろう。理想を語るには、それに見合う実力を身につけろ、というわけだ。

だが、奈々ちゃんの世界観は違う。8曲目の「JET PARK」のように、自分のやりたいことをしっかり持って、ぎゅっと拳を握り締めて奮い立つ。夢を持っているなら、願い続ける。突き進む。迷ったとしても、必ず夢を掴むからといったプラスの熱いエネルギーに満ちている。「SKIPPER」とは日本語で艇長、または主将の意味を表す。すなわち、彼女がそれぞれの夢への道先案内人へとなる。

目次

Pritsの準備はできている

初回版のブックレットを開いて見ると、4つの椅子が並べられた写真と出会う。彼女は黒のブーツとチェックのスカートで左端の椅子に座っている。4と言えば、かつてのPritsを思い出す。意図していないだろうが、「私なら大丈夫! Pritsの準備はできているから」というメッセージへと転化してしまいそうになる。

そんな奈々ちゃんが導く先は、熱い情熱の世界。12曲目の「恋してる・・・」のようなアイドル風の曲から、ギターソロで始まる5曲目「砂漠の海」のような、男から見て格好いいと感じる曲まで、相変わらず曲の幅が広い。全15曲中、7曲が恋愛の歌で占めているが、影は薄い。恋愛の曲なら10曲目の「Nocturne -revision-」か、ラストの「refrain -classico-」の二つのリメイクを推そうか。どちらも音に惹かれる。安心して聴くことができる。

なるようになる、ではなく、「する」ようになる

圧巻は2曲目の「BE READY!」、前作「MAGIC ATTRACTION」からの続きとして作られた「宝物」をオープニングに据え、2曲目が「DREAM SKIPPER」の本当の始まりとなる。そして、「BE READY!」の中にこんな一節がある。

ナキゴト言わなくていい 思い通り生きる道
自分で決めた事 少しずつ加速すれば
凍えた指も 春に溶けると願ってみようよ

これを聞いている日々、私は休日返上で働いていた。自ら求めてハードワークをこなしていたわけではない。仕事が終わりそうにないので仕方なくやっていた。でも、それは自分で決めたこと。仕事を辞めると言う選択肢もあったはず。それを選ばなかった自分が、奈々ちゃんの曲を聞いてがんばって働いているのであって、もしかしたら、違う職を選んでいた世界があるかもしれない。

人生は自分のなるようになる、ではなく、人生は自分が「する」ようになるのかもしれない。

最近よく思う。人生には何度となく選択を迫られる時がある。身近なものでは受験や就職。たとえ自分の希望が叶わなかったときでも、それが自分の成した結果ではないのだろうか。選んだ道が結果に出るなら、彼女の歌を人生の旅の道連れに、激動の今を生きて行こう。
 未来、夢を叶えるために。

【個人的評価】
★★★★★★★☆ (79点)
しかし私の場合、夢を描くことから始めないとダメなのですが。

水樹奈々「DREAM SKIPPER」(Amazon.co.jpへ)
発売日:2003年11月27日 定価:3,000円
発売元:キングレコード

[参考]
hm3 SPECIAL vol.11 2004年2月号 「水樹奈々インタビュー」(音楽専科社)

収録曲一覧

01.宝物
02.BE READY!
03.Keep your hands in the air
04.still in the groove
05.砂漠の海

06.Dear to me
07.What cheer?
08.JET PARK
09.White Lie
10.Nocturne -revision-

11.ひまわり
12.恋してる...
13.in a fix
14.New Sensation
15.refrain -classico-

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