子どもの頃に見つけた、段ボール箱に入った子犬。
どうみても捨て犬で、家から持ってきたごはんの残りを与えると、勢いのままに食べはじめる。食べ物がなくなると、愛想よくしっぽを振っていた。
そのまま抱きかかえて家路についた幼い日。
なにを持って帰ってきたのかと訝しんだ両親が見ておどろいたのも無理はない。
「元の場所に戻しなさい」
ごめんよ、と言いながら僕は子犬をそっと返した。大きな瞳で僕を見つめている。これから遊んでくれるのか、それともごはんがまた待っているのか、期待している顔で。
僕はそのまま走り出す。後ろは振り返らなかった。ただ前へ。
家の玄関をおおいそぎで閉めた。
何か小さな音がする。
乱れた呼吸を整えながら、僕は両目を薄めに開きながら、そっとドアを開いた。
——わんっ!
玄関の前では、はじめて見た時と同じように、懐いた子犬がしっぽを振っていた。
話は変わりすぎて。
以前からお知らせしていたように、50万アクセス記念を祝うという名目で、なぜかボーリングをする。ゲームをするに当たって、私は事前にプレゼントを用意しておいた。その品の一部をご紹介しよう。
・シスタープリンセスの下敷き(天広直人作ではなく、アニメ版)
・ウケるブログの書き方(中古本で100円の品)などなど。あと10点程あった。
「微妙」
「明日には資源ゴミに出されているね」
そうだよ! 俺が部屋を掃除して出てきた品の一部だよ!
ということで、ボーリングで最下位になった人に贈る、景品という名の罰ゲーム。オタグッズ押し付け合い合戦の始まりだ。やかましいぞ外野。「えー」とか言うんじゃない。参加者には事前に告知はしておいたのだから。
ボーリングをするのは二年振りくらい。だけど、投げたら悪くても平均120くらいは行くので、メンバーがよほど上手い人ばかりでなければ、最下位は免れること確実だと考えていた。
よく覚えておきなさい。賭け事で必ず勝つ方法は何か。
それは賭けの胴元になることです。
「計画通り」と心の中で叫んだ漫画の主人公。その端正な顔が歪む瞬間を思い出して、笑いを込み上げるのに苦労する。その日、その時まで、私は誰かにオタグッズを処分させる場面を頭の中にありありと思い浮かべていた。
結果(3ゲーム合計)
1位 Aさん 360点台
2位 Bさん&Cさん 340点台
ぶっちぎり最下位 やーちん 310点
なにこれ。
平均を取ったら100をわずかに越えるくらい。
「自分で持って帰るってことですよねー」と、お持ち帰りコールが起こる。
「あたしたちを捨てるの? 捨てるの?」
「ねえ、お願い捨てないで」
下敷きのイラストが泣きすがる。あの日玄関先で見た子犬の姿が脳裏の奥から甦り、オタグッズと重なった。私は膝を地面につき、土下座のように顔をうなだれ、倒れ込んでしまった。
かき集めてきたオタグッズを再び家に持って帰る。
封を開けると、心なしか喜んでいるように見えた。
追伸(みなさま)
リアルから、そしてネット上から祝辞を頂き(なんとシャンパンまで貰った!)、ありがとうございました。今後も100万目指して行きますので、よろしくお願い致します。
もし見捨てても、オタグッズのように後ろからついてゆくよっ!
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