丹下桜さん/カードキャプターさくら関係は別ページにまとめました。 移転先はこちら

横向きの親知らず

十年来、怯えていることがありました。
それは、右下奥にある親知らずを抜かなければならないということ。最近その歯が痛み出し「病は気から。気のせいだ!」と自分をごまかしていたのですが、本格的に痛むと治療が難しくなるので、その前に行って来いと周りの人から諭され、治療を受けに行ってきました。

歯科医の説明によると、歯は普通縦に生えるけれど、右下奥の親知らずは横に生えていて、ほとんどが歯ぐきの中に埋没しているらしい。こうなってしまうと簡単には抜けないので、歯ぐきを切開してから親知らずを抜いて、傷口を縫合するとのこと。

切開・縫合って、自分の中ではもう手術だよ……。
なんで俺の歯は横に生えてるんだよ……。

さらに追い打ちをかけるように、説明が続きます。
抜く親知らずの近くには顎の感覚を司る神経もある。太い神経なので間違えて切ることはまずありえないけれど、万が一神経を傷つけた場合、下唇や顎にしびれが残る場合があります。とのこと。歯科医から説明を聞いている時点で萎えてきます。もう帰りたい。

結論からいうと、やはり抜け難かったらしく、1本抜くのに1時間以上かかりました。
まずは局部麻酔。どうせなら全身麻酔の方が良かったと思いながら、親知らずの周辺に注射をされます。これはそんなに痛くない。

次に歯ぐきを切開し、横向きに生えていた歯を抜きやすいように露出させます。麻酔が効いているのでまだ痛くない。ここから先は歯が抜けにくいので、何個も分割するようです。ミシミシという骨が潰れるような音が頭の中に響くので、気持ち悪いことこの上ない。

そして次第に痛みが酷くなります。もしかしてこれ、麻酔切れてきた? と思いつつ「もう痛みに耐えられません」と歯科医に訴えても麻酔の追加投入もなく「大丈夫。もうすぐ終わりますから頑張りましょうねー」とのこと。
頑張る前に死んでまうわー!

1時間近くほぼ休憩なしで口を開けているので顎も痛いです。治療用の椅子に座っていると腰まで痛い。でも一番痛いのは右下の親知らず。だんだんと息も絶え絶えになり、目から涙が滲み、全身は汗でぐっしょりになっていました。最後の頃はただただ早く終わってくれと念じるだけでした。

やがて、取り出されたのが5分割された歯のかけら。自分の歯ですけど、今回ばかりは愛着もなく、お前が痛みの原因か! としか思えませんでしたね。

術後の経過は良好なようで、術後当日こそ少し痛みはありましたけど、腫れも少なく、ご飯も普通に食べられました。2日目以降にはもう痛みもあまり感じませんでした(むしろ抜歯中は人生最大級の痛み)。

後日、医療関係者にこの話をしたら「そりゃ良かったね、上手い人に当って」と言われました。どうやら上手な歯科医だと抜歯の際に周辺の組織を傷つけるのを最小限に抑えるので、術後の痛みは少なく、回復も早いそうです。

余談ですが、抜いている最中に「いやー、なかなか抜けないな」とか「うーん、無理だなあ」と歯科医の方が呟いていたのですが、患者はとても不安になりますね。歯が分割されたまま、抜けずに治療が終了したらどうしようなどと考えていましたから。ただ、振り返ると自分も「できないなあ」とか「これは無理!」などと言いながら仕事をしていることがあるので、もしかしたら同じように人を不安にさせていたかもしれません。

コメント

コメントする

目次